死ぬまで無限に続く道に広がる未来
いつか何処かで絶対に分かれ道
それでも信じたい
どこかでまた出会えることを








Hey!youth







、放課後だ!」
元気良くぴょんぴょんと跳ねる岳人
「よっしゃ!」
それに答えるように大きな声を出す私
2人揃って勢い良く教室を飛び出すと集合場所のテニスコ−ト前へと向かった




一番乗りで来たつもりが忍足以外のメンバ−は既に揃っていた
拗ねる岳人に私以外のもう一人のテニス部マネ−ジャ−が言う
「残念、遅かったね」
真夏の太陽が私達を照らす
みんなの額からは汗が伝い光る
「担任の野郎が終わるの遅かったんだよ!」
な、と同意を求める岳人に仕方なく頷いた
(いつもより早かったけどな)という意味の苦笑いも添えて




黙っていた日吉が口を開く
「忍足さん遅いですね」
その口調には怒りさえ感じる気がする
それを咎めるように長太郎が言う
「忍足さんのことだから忙しいんじゃない?」
「別に何も忙しくね−だろ」
折角の長太郎のフォロ−も虚しく宍戸にばっさりと切られてしまった






そんな話をみんなでやり取りしていると大分遅れて忍足がやってきた
むかくつくらいの爽やかな笑みを浮かべながら
そんな忍足に日吉と跡部だけは青筋を立てている



「遅れてしもてごめんなあ」
そんなにへらへら笑っていると跡部を怒らすぞ、と内心心配していたがもう遅かった
「俺様を待たせるとはいい度胸じゃねえか、あ−ん?」
明らかに怒っているであろう跡部にひたすら謝っている忍足を横目で見ながら私達は歩き出した



校門から出ると朝学校に来る際に近くに隠していた自転車を4台引っ張り出し、2人1組になって自転車にまたがる
…忍足と跡部以外は
今日樺地くんとジロ−は欠席だ(用事があるらしい)(でも多分ジロ−は寝たいだけ)
私は岳人、は日吉、もちろん鳳と宍戸はセットで何故か跡部と忍足が一緒
極自然に決まったペアである、多分
「何で俺が跡部とペアやねん!」
「うるさいな、極自然に決まったことなんだよ」
遅刻してきた人に文句言う権利なんてないぞ、と思わせるような彩香の口調に忍足も黙る
は強い




「俺の方がよっぽど不服だ」
「どうせ扱ぐの俺やろ!」
「お前以外に誰が居る」
相変わらずの俺様野郎に忍足も諦めたらしく自転車にまたがった






「行っくぞ−!」
岳人の声を先頭にみんなが自転車を扱ぎ出す
風が当たって気持ちいい
日吉の後ろに横座りでまたがるは綺麗だ
錯覚か何だかしらないが日吉の顔が赤く見える


「日吉−っ」
「…何ですか」
「顔赤いぞ−!」
「な、なっ!」


凄い分かりやすい動揺の仕方とあまりに赤い顔に笑える
私の一言がきっかけでその日日吉はずっとみんなにからかわれていた
(ごめんね、でも面白かったんだよ)






いつもとは違う人通りが少ない道を選びながら自転車を走らせる
部活がない日にこうしてみんなで帰るのは凄く新鮮で気持ちが高ぶって仕方がない
「そういえば侑士なんであんなに遅れたんだよ−」
俺はまだ怒ってるぞ、と言わんばかりに頬を膨らます岳人
「女の子に呼び止められてん」
さらりと言う忍足に私と岳人の文句が炸裂



「うぜ−!」
「何さらりと言っちゃってんの嘘眼鏡!」
「嘘って何やねん、伊達やろ、伊達」
「侑士ただの遅刻のくせに意地張るなよっ」
「よく言ったぞ岳人」
「意地なんか張ってへんわ!」
「うるさい貧乏」
「貧乏ちゃう!」



自分でも分かるほどの低レベルな言い合いに跡部が言う
「うるせえ、どうしてお前達はこうもうるせえんだ」
続いて
「いいんじゃない?見てて面白いし」





何か妙に大人っぽいこと言う跡部とにむっとする
「私達だけじゃないよ、ねえ宍戸!」
「あ?」
俺一切関係なし、とそっぽを向いていた宍戸がげっという顔をして私の方を向く
「宍戸も忍足の変な意地と貧乏と嘘眼鏡にはうんざりでしょ?」
「まあそう言われればそうだな」
案外しれっと言う宍戸に忍足が猛反論




「あほ、お前誰が貧乏やねん!」
「お前ちょっと貧乏臭えだろ?」
「まあまあ宍戸さんに忍足さん」
体は馬鹿でかいくせに人一倍平和主義の鳳が間に入る
止めるな鳳!と言う岳人の声が周りに大きく響く
私達って本当に騒がしい
自転車乗り回しながらこう大騒ぎする人たちなんか滅多にいない




「本当にうるさい」
「いいじゃない、日吉」
隣で聞えた会話に黙って日吉を見た
「…何ですか」
「顔赤いぞ」
「なっ!」




岳人もっとスピ−ド出せ、と言い日吉たちから離れたけどこれまた凄いスピ−ドで追いかけられた
気付くとみんな猛スピ−ドを出して私達についてくる
宍戸を後ろに乗せた鳳は可愛い笑顔を浮かべているではないか
それに比べ跡部を後ろに乗せ必死で私達についてくる忍足の顔はかなり笑える
「忍足顔汚っ!」
すかさず言うとさっきとは比べ物にならない速さで追いついてきた








暫くしてス−パ−が見えるとキキ−、と一斉に止まる
扱ぐのに必死だった前の人たちは必死で空気を吸い込もうと肩を揺らす
その間に私とはス−パ−に入り人数分のアイスキャンディ−を買い、外へと戻った




みんなにアイスキャンディ−を配り終えると袋をあけた
甘い匂いと冷気がたちまち周りに広がる
上から容赦なく照らしつける太陽を背に一口かじる
「何か涼しい気分になりますね」
(鳳、あんたの笑顔が涼しいよ)
そんなを心で思いつつ、一言うんと言い頷いた






ソ−ダ味のアイスが口いっぱいに広がって消える
「たまにはこういうのもいいな!」
甘いものが好きな岳人はアイスを口いっぱいに頬張りながら言う
今日は榊先生の気まぐれなのか何なのか滅多にない休みをくれた
そこで私と岳人が計画を立て皆で自転車に乗り帰ろうよ計画を立てたのだ
「次は樺地くんも一緒に来ないとね」
そう言う私にすかさず宍戸が疑問を投げかける
「樺地が乗った自転車誰が扱ぐんだよ」
「…忍足?」
「何言うてんねん、骨折れるわ!」
岳人が聞く
「ジロ−はどうすんだよ」
「…これまた忍足?」
猛烈に拒否する忍足をみんなで無視し、結局は次樺地くんとジロ−が来たときは忍足が自転車を扱ぐこととなった
忍足には頑張ってもらいたい






アイスを食べ終わるともう夕日がちらつき始めていることに気付く
「おい、そろそろ行くぞ」
跡部の一言にそれぞれ立ち上がると、アイスの袋を丁寧にゴミ箱に入れまた自転車にまたがる
帰り道の下り坂を下りながら私と岳人は口を揃えて言う
「青春だあ!」
ぐんぐんぐんぐん下っていく
「うるせえ」跡部が言う
「本間は元気やな」忍足が笑う
「本当にうるさいです」夕日で赤く染まった日吉が言う
「まあまあ、いいじゃないですか」優しい鳳は笑う
「ま、うっせ−けどな」そう言い頭を掻く宍戸
「今日は楽しかったね」大人びた顔で笑う
まだまだ終わらない夏
ずっと忘れない思い出の日
きっと私達は一生仲間だ










あとがき**

ある本を見て、ある曲を聴いて思いついた作品
恋愛一切なしの青春物(のつもり)です
アイス、食べたいなあ