今に至るまでの出来事があまりに酷すぎて終業式どころじゃない
幸村様からの命令で強制的に決定したマネ−ジャ−
仁王から聞かされた明後日から始まる他校との合同合宿
他の女子なら喜んで食いつくだろう七色のイベントは私にとって最悪最強の恐怖でしかないのだ
しかも噂によれば合同合宿を行う氷帝学園は色んな意味で濃いらしい
私は必死にこれ以上濃いメンバ−が揃わないことを祈るのみ
校長の話など右から左に抜けてさようなら
そしてグッバイ私の夏休み!








beautiful days 〜立海マネの華麗な日常〜








あまりにも悲惨な自分の成績表を片手に我が家へと続く道を一人寂しくトボトボと歩く
いつもなら顔を歪ませ絶叫しているだろう英語の成績も今はかなりどうでもいい
頭の中は絶対に辛すぎるマネ−ジャ−業と明後日から始まる他校との合同合宿のことで一杯
もう本当に成績なんてどうでもいい(こうなりゃヤケクソだ)
今日改めて思ったことがある
どうして私はこうも頭が弱く乗せられやすい性格なんだろうか
ここまで自分の弱い頭と単純な性格を呪ったことは一度たりともない
遡ること30分前、私が帰る間際の教室にて







の成績は相変わらず見るに耐えられないもんじゃのう」
「うるせ−うるせ−」
私の成績表を取り上げ見るとニヤニヤ笑う仁王
そんな仁王の成績は何故か知らぬが完璧
結構真面目であろう私とかなりの不真面目なはずの仁王との成績の差は一体何なんだろう






「明後日の合宿勿論行くじゃろ?」
「誰が行くか!意地でも逃げ回ってやる!」
「氷帝は金持ち校じゃけえ、合宿先は沖縄なり」
仁王の予想外な言葉に私の心は簡単に揺れた
沖縄って夏休みっぽくない?(単純に夏休み気分を味わいたかっただけなのだ)
「なら行く!………ちょっと待て、今のなし」
「無理じゃ」
「何で!」
の後ろで他のメンバ−も聞いとるけえ」







勢いよく振り向くとさっきまで居なかったはずのメンバ−が綺麗に揃っているではありませんか
幸村様に至ってはかなりの笑顔でございます
「ようやく行く気になってくれたんだね」
この瞬間確信した
絶対仁王と幸村様手組んでやがる!(仁王を強く睨みつけたが鼻で笑われた)
「残念ですが私は…」
「行くよね?」
黒い!黒すぎる!
有無を言わせぬその口調って明らかに脅しじゃないですか
「行かせていただきます」
私の言葉を聞くと幸村様は深く頷いて去っていった
部室で明後日行われる合宿の打ち合わせでもあるのだろう、仁王を含む他のメンバ−も幸村様の後に続いて去る
この時「先輩ってアホっすね!」みたいな笑みを私に向けた赤也に対して殺意が芽生えた(あんのワカメ!)






呆然と立ち尽くす私に頬杖を付いて冷静に事態を見ていたが口を開く
「…あんた随分なアホね」
「それ今言わなくてもいいんじゃ…」
「いや、だって完璧なるアホじゃん」
「そっすね」
美人な友達の冷静な自己分析に私は頷く他なかった
そして教室の床には風で飛んでしまったのか私の悲劇的な成績が堂々と口を広げパタパタと蠢いていた
成績だってあんなだしね
「うっせ−よ」







「とりあえず今日はゆっくり寝よう」
教室での出来事を頭の中で回想を繰り返していると家に着いていた
夜お風呂から上がると両親が私の成績を見て大爆笑をしていた(とてもあんた達のアホな遺伝子だけを受け継いだとは言えない)
私は素晴らしく過ごすはずだった理想の夏休みを想像だけで過ごしそのまま眠りに就く
その時に来た真田からの「おやすみ」オンリ−のメ−ルの意味が全く分からなかったので無視したのはここだけの話







そしてこの日はやって来た
そりゃあ猛烈な早さでやって来ましたよ(あれ?明後日こんなに早くやって来るもんだっけ、的な早さ)
朝はいつも通りに幸村様が直々に起こしてくださりました
あまりに酷い眠気のため意識を朦朧とさせているとラリアットが飛んできて先程とは違う意味で意識が朦朧とした
幸村様に連れられ学校へ行くとそこには既に集まっていたレギュラ−陣の姿






鞄を片手に私向かって歩いてくる丸井
このメタボ予備軍め!
「お前寝起きだろい」
「そうですよ、悪いですか」
「何切れてんだよ」
ガムを朝っぱらからクチャクチャ食べている君に言われたくないね!(フンッ)







「じゃあバスに乗ろうか」
幸村様の一言でバスに乗り込む私達
一人ゆっくり眠りろう、そう決めた私に幸村様は死刑宣告を言い放つ
「あ、は俺の隣ね」
「…ん?」
「隣ね、絶対」
今最後に行った「絶対」ってとこに殺気含んでた!
こうして結局私に選択肢なんてあるわけがなく空港に着くまでの間幸村様の隣に腰を下ろすことが決定したのでした







幸村様の隣という最悪最強な席でゆっくり安らかに眠れる訳がなく
寧ろ冷や汗大量です、半端ないです
「ふふ、そんなに大量の冷や汗流してどうしたの?」
そんな爽やかに言われても…
「いや−、暑い沖縄に行くと思うと今から汗吹き出るんですわ」
「とてもそんな汗には見えないけどね」
「あ、あははは−!はっはっは!」






とりあえず笑っておいた(低脳は私の頭ではこれくらいのことしか出来ない)
「そういえば眠いんでしょ?」
「はい(だけど貴方が隣に居て眠れないんです、なんて言えない!)」
とりあえず幸村様と恐怖のやり取りをしながら空港に着いた
バスから降り立った瞬間安心感やら何やらで若干泣けてきたのはジャッカルだけが知る







「先輩泣きそうな顔っすね!」
「当たり前だろ」
「んな怒んなくてもいいじゃないっすか」
ご機嫌な赤也を尻目に私は昨日の夜に詰め込んだ重い荷物をひたすら見つめる
その理由は唯一つ
パンツ忘れた…(非常にやばい状況だ)






私の横に並ぶ柳生の手を勢いよく掴み聞く
「合宿って何日あるの?」
「確か3泊4日ですよ」
「う、うそん…!」
「どうかしましたか?」
「何でもないっす」
いくらジェントルマンな柳生とはいえ流石にパンツを忘れただなんて言えない
というより柳生に言った所で解決するわけでもねえ!







あとは飛行機に乗って沖縄に向かうだけのこの状況で今更家に帰ってパンツを取ってくるだなんて…
恥ずかしくて誰にも言えないし、もし幸村様に言った所で帰してくれるわけがない
こうして考えている内に荷物検査のため機械にMY鞄が通される
余計なものは持っていないため勿論機械が鳴ることはなかったがその荷物の中に親愛なる大事なパンツちゃんはいない
今手に持っている財布でそこ等にあるパンツを買おうかどうか…
一人でそんなことを考えている間に飛行機に乗る時間は刻々と迫る
そしてパンツを買う決心をしたその時






何をしている、行くぞ」
「へ?」
目の前には迫力大の真田が居た
「飛行機に乗る時間だ」
「う、嘘!」
「嘘も本当もあるか、ん?財布を持って何をしている」
「何でもございません!」






こうしてパンツを買えぬまま私は真田と共に飛行機へと乗り込んだ
機内でこそ幸村様と離れたもの、私の両脇には真田と柳というこれまた濃い2人
デ−タマン柳に怯えていると決定的な一言を言われた
が何かを忘れた確立100%」
「ひ、人の心を読むな!」
「その様子だと当たっているようだな」
私の答えに柳は一人納得するとノ−トに何かを書き込む
寝不足にも関わらず私は柳がノ−トに書いたことが気になって眠れやしなかった







学校から空港に着くまでのバスでは幸村様と恐怖の戦争
やっと着いた空港ではまさかのハプニングでパンツを忘れるという大失態
機内では柳に確信を付かれノ−トの中身が気になり目が赤也の如く充血
そして唯一の楽しみだった沖縄に着き目的地に着くまでのバスでは隣になった丸井が妙にお菓子を勧めて来るウザさで相当疲れた
大体あいつお菓子食べすぎだろ!
そして今私は驚くべき光景を目にして口をあんぐりと間抜けに開けている







バスに揺られること1時間弱
丸井のあまりのウザさに不貞寝していた私は幸村様の声で目を覚ます
「ここが今日から合宿するところだよ」
寝ぼけた頭でフラフラとバスを降りると私の弱い脳みそと浅はかな眠気は何処かへ吹き飛んだ
目の前にはとても合宿所とは思えない豪華な建物が堂々と建つ
幸村様の黒い冗談かと思いバスに再び乗ろうと踵を返した私の目に飛び込んできたものは何面もある馬鹿でかいテニスコ−ト
そのテニスコ−トが確実に合宿所と納得せざる負えない事を示していた








「ジャッカル!この広さとでかさは何なの?」
「俺が分かるわけないだろ!」
「マジで馬鹿でかいっすね」
「あの監督の別荘なんだからこれくらい当たり前だろぃ」
「監督?」






一人理解できずに居る私は目をぱちくりさせるだけ
とても一般人に建てられるような建物じゃないのだけは確かだ
丸井の口から出来た監督という言葉
よっぽど凄い人なのだろうか、私は少ない知能を精一杯使って想像してみるが到底無理だった
私がうんうん唸っていると後ろから何だかダンディな声が聞えた






「待たせたようだな」
「榊監督どうぞ宜しくお願いします」
目の前に現れたのは一瞬で分かるほどのダンディなおっちゃん
こいつが例の監督に間違いない!(声と見た目が見事に一致するほどのダンディさだ)
そしてこのダンディズム溢れるおっちゃんの後ろから次々登場する美男子の数々
今私の目が点になっていることを自分で自信を持って言える







来て良かったのう」
今日一度も話をしていなかった仁王がここに来て私に近づき話しかける
の好物がいっぱいじゃ」
「その言い方やめてよ」
「言い方を変えた所で何も変わらん」
氷帝学園聞く所によると別名がホスト軍団らしい
まさにその別名ぴったりではないだろうか







は美男美女大好きじゃからの」
「でもこの氷帝のホスト軍団何だか危ない匂いがいっぱいするんだけど」
確かに顔だけ見れば誰もパ−フェクト
私は今仁王が言った通り美男美女好きに違いない(そこは姉の血を思う存分受け継いでいる)
しかし幸村様によって洗礼された私の強力な武器である危険レ−ダ−がこれまた強く鳴り響く
きっと氷帝の連中はこれまた濃い奴らなのだろう
「…やっぱり来なきゃ良かった」
「目の前にはの好物がいっぱいあるとよ?」
ニヤリと笑う仁王の顔は随分と楽しそうで
「こんなに危険レ−ダ−が発動してるのに楽しめるわけないでしょ」
「気になさんな」
溜息と一緒に私の幸せはフラフラと何処かへ消えていく








今からさっそく始まる3泊4日の合宿
私達立海の前にはダンディなおっちゃんと別名ホスト軍団と呼ばれる氷帝学園テニス部
確かに私は美男美女が好きだがどうも今回ばかりはごめんなさい
姉と同じ血を受け継いでいる私だが姉とは違って恋には走らないのだ
私は単に綺麗な顔をしている人が好きなだけ、言い換えれば羨ましいそれだけのこと(ここ重要!)
何だか嫌な予感がする
その考えを振り切るように私は決めた
とりあえず家に忘れたパンツを買いに行こう











あとがき**

何かグダグダ…
今回書くの難しかったかも
危ない合宿がいよいよスタ−ト!



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